BY Rika Terasawa (ナード・アロマテラピー協会認定 アロマ・インストラクター)
最近、日本でも「アロマテラピー」は、すっかり定着してきましたね。キャンドルでも柔軟剤でも芳香剤でもアロマ配合などとうたわれ「アロマ」という単語を聞かない日はないほどです。
アロマは香りという意味ですが、アロマテラピーは日本語に訳すと「芳香療法」。つまり、テラピーなのでれっきとした「療法」の一つなのです。医薬品として認知され、使用されるメディカルアロマテラピーというものがあることをご存知でしょうか?フランスやベルギーにおいて精油(エッセンシャルオイル、アロマオイル)は医薬品として処方され、クリニカルアロマテラピー、アロマトロジーなどとも呼ばれています。今日はそんなメディカルアロマテラピーについて、ご紹介したいと思います。
アロマテラピーが療法だときいて思いつくのは、マッサージ(トリートメント)でしょうか?私もアロマを仕事にしているとお話すると「マッサージするの?」と言われることが多いです。精油をホホバオイルなどの植物油で薄めて身体に塗る方法は、イギリス式アロマテラピーと言われています。一方、フランス式アロマテラピーは香ったり、皮膚に塗るだけでなく、飲んだり(経口薬)、座薬、膣剤としても処方されているのです。
メディカルアロマテラピーで使われる精油(エッセンシャルオイル・アロマオイル)は、どんなものなのでしょうか?ガスクロマトグラフィーという機械を使って、どんな成分が入っているのかを分析し、含まれる成分の割合で厳密に分類がされています。なんだか小難しい話になってきたぞ?と思うかもしれませんが、ご心配なく。たとえば、大根!冬の大根は甘くて柔らかくて、夏の大根はピリッと辛くありませんか?精油を採るハーブも同じく、イタリア料理でおなじみのタイムも春に収穫したものと、秋に収穫したものは、香りだけでなく含まれる成分が大きく異なるのです。この成分の含まれる割合をみて、別の種類として分類されています。言ってみれば、甘い大根は煮物用、辛い大根はおろし蕎麦用といった具合です。なぜ分けるかというと、成分が変われば使用する目的も自ずと変わってくるからです。もちろん無農薬、かぎりなく自生に近い状態で育ったハーブを使用し、成分分析では残留農薬(違う畑から風で飛んでくる)、添加物などを厳しく検査をして1本ずつの分析表が添付されています。日本では特に基準はなく、精油は雑貨扱いになるためにその品質はピンキリですから、分析表できちんと内容がわかるものを使いたいものです。
日本ではアロマテラピーは医療として認められていないため、健康食品等と同様に自己責任においての使用となりますが、様々な場面で活躍してくれます。例えば、風邪の季節に免疫力を高めることを期待してラヴィンツァラ、ユーカリ・ラディアタ精油を吸引したり、ゼラニウム・エジプト精油を切り傷や鼻血の止血のために使用したり、ペパーミント精油の経口摂取で吐き気に対応、放射線治療中の方の免疫力強化、ウイルス、免疫疾患など、多くの疾患に対する臨床データやレシピがあります。また、次世代のアロマテラピーといわれるハーブウォーター(精油を採取する際にとれるハーブの水溶液)を使用して高齢者の床ずれなどのケアも行われています。
なんだか難しそうだし、間違って使ったら怖そう、と思うかもしれませんが、正しい知識のある有資格者にアドバイスをもらえば、とてもカンタンです。自分のお悩みにあった精油を数本そろえておくだけで、その他スキンケア、おそうじ、虫除けなどマルチに使えます。精油によって妊産婦、乳幼児、特定の疾患の方は使用を避けた方が良いもの、刺激が強くて皮膚を荒らすものもありますので、しっかりとアドバイスを受けましょう。ただ香りを楽しむだけでなく、こんなアロマテラピーを少しずつ生活に取り入れて、自然の大いなる力を享受してみませんか?
著者プロフィール
寺澤里佳
ナード・アロマテラピー協会認定 アロマ・インストラクター
アロマトロジスト(芳香療法士)として、東京・世田谷区にてlimetta(リメッタ)を主宰。メディカルアロマテラピーの個人カウンセリングや講師として活動。ガーデニング、マクロビ、レイキなどを取り入れ、カンタンで楽しく健やかなローケミカルなライフスタイルを提案。趣味はアート、ファッション、お笑い。
http://limetta.jp