インタビュー:小栗瑞恵 – 2012プロロングボードのルーキーオブザイヤー

2012プロロングボードのルーキーオブザイヤー小栗瑞恵さんインタビュー
千葉県の鴨川をこよなく愛し、日々海と向かい合い、自然環境に優しいブランドrulezpeeps(http://rulezpeeps.com)をご夫婦で営み、普段は鴨川のお店でも働きプロロングボーダーとしても活躍し、充実したナチュラルライフ。聞けば聞くほど羨ましくそして素敵なライフスタイルの瑞恵さんの海とサーフィンとの関係を聞いてみました。

●サーフィンとの出会い●
———サーフィンを始めたきっかけを教えてください。
高校時代に周りの友人がサーフィンをしていて、それを観に行ってたのがきっかけです。ただ当初は日焼けが嫌いで(笑)パラソルの下にいるような女の子でした。多分今とは雰囲気も違ったと思います。でも、運動は好きだったのでそのうち『やってみようかな』という気持ちになり、専門学校時代にいきなりショートボードから始めちゃいました。

———最初はロングから始める人が殆どですが、いきなりショートから?
はい。立つのはロングのほうが簡単といいますが、だからこそ敢えてショートで(笑)独学で始めました。ポイントも最初は千葉北に行っていましたが、冬に鴨川につれて来てもらい、その水の綺麗さに驚き住んでみたいなと思いました。1年くらい通いで千葉のほうに行っていましたが、その後ワーキングホリデーでオーストラリアへ。オーストラリアでは、毎日サーフィンしていたのでその流れで、鴨川に住むことに(笑)このときはまだショートを楽しんでいました。

———ショートからどうしてロングに?
実はショートほうがロング歴より長いんです。試合にもちょこちょこ出させて頂いていました。で、K-SOSという鴨川のローカルを中心とした試合にもショートで出場していたのですが、あるときショート女子のカテゴリーがなくなってしまい、女子ロングボードのカテゴリーができて、ロングなんてやったことないのに、私の旦那さんが勝手にエントリーしちゃって(笑)急遽、中古のロングを購入してその試合に出たのがロングボードを始めるきっかけでしたね。

———ショートから変わっていかがでしたか?
ショートでは、毎日同じ事しかできなくなっていて、そこからロングを始めたので、とても新鮮に感じました。ちょうどロングボードの女子のプロも設立され、プロへチャレンジしてみようかなと思いまして。チャレンジを決めたときはまだノーズライディングもできなかったんですよ( 笑)

———試合前のジンクスなどありますか?
ジンクスは気にしていないです。ただ、イメトレとして勝っていくイメージをして、普段通りの生活を心がけています。とても緊張しやすい性格なのでその緊張を出さないようにもしています。普段の生活の中に試合があるような、特別に何かをするようなことはないですね。

——–小さな波でも必ず朝、誰よりも早く海に来ていますよね?
そうですね。小さな波でもすごく楽しくて。楽しいから自然に海に気持ちも向かうのかもしれません。

——–お気に入りの板は?
グレースサーフボードのホリデーモデルです、グレースサーフボードは谷内太郎さんはじめ、大淵さん、関谷Proなどのシェイパー陣はいつも私のサーフィンを見ていてくれて、的確なアドバイスもくれて私に合ったサーフボードを作ってくれます。自分のサーフィンを見てくれるシェイパーが近くにいるというのは本当に恵まれています。

——–サーフィン以外でトレーニングはしていますか?
下半身の筋力を鍛え、ヨガ、バランスボール、あとはだっこが大好きなのり君(ねこ)をだっこして付加をかけてスクワットしています(笑)

——–プロになり昨年1年ツアーを周り、いかがでしたか?
ショートをしていたときは、上位を狙うという意識はありませんでしたが、プロになり、去年まる一年ツアーを周り、上位を狙って行きたいという意識が芽生えました。ただ、女子のプロ人口は少ないのでもっと増えて、盛り上がって行けばいいなと思っていますし、ライバルでもありますが、他の選手からいい刺激も沢山頂いています。

——–去年の試合を振り返っていかがでしたか?
メンタル面では落ち着いて試合に臨めなかったことですかね。悔しい思いも沢山しましたが、すべてがとても良い経験になっています。

——–プロになり2年目。今季の目標は?
優勝することです。今の課題は技を磨く事。ですが試合のたびに学ぶことも多くて。

——–鴨川という街はサーフィンの歴史も長く、プロも多いですよね
はい。鴨川はすごい選手も多く、アドバイスも頂けるし、シェイパーさんも見てくれているので環境としては最高ですね。

——–どういうサーファーになりたいですか?
ライディングとしては、あっと驚くような、男子顔負けのライディングができるようになりたいですが、長い目でみれば、おばあちゃんになってもできるようになりたいです。

——-好きな選手は?
松山欣則Pro(http://prolonger.tv/yocci.html)です。

——-ルーキー オブ ザイヤーについて
とりたいとは何となく思っていましたが、最初はそうでもなくて、でも試合を重ねて行くうちに、とりたいなという思いが強くなりました。ですが、最終戦で負けてしまい、他の選手の結果待ちでのルーキーオブザイヤーを頂いたのでそこが悔やまれますが、この賞をとった事で改めて周り方々からの応援をたくさん感じることができました。

——-夏はどういうスタイルで海に入りますか?
ボードショーツで入ります。試合のときも同じですね。好きなブランドはパタゴニア、プアラニですね。パタゴニアは動きやすく、可愛くて、長持ちしてくれるので助かりますね。今年はウエットスーツのスポンサーのFlor designでウエットパンツを作ってくれたのでそれを試すのも楽しみです。

——-お気に入りのサーフポイントは?
ホームポイントの鴨川は本当に好きですね。あとは、なかなか行けませんがハワイのワイキキ周辺、オーストラリアのシドニーを中心としたエリアも好きです。23歳のときに、7ヶ月、オーストラリアで過ごして、まだ初心者の時に行ったのですが、とても楽しかったです。

——-ロングボードの魅力とは?

小さな波でも楽しめる事とノーズライディングの気持ちよさですね。足の裏から感じる心地よさはショートでは感じられなくて。多分ショートからロング変えたときがショートで行き詰まりもあり、そこから新しい気持ちになれたのかもしれません。2-3年でプロにもなれたのはこの「楽しさ」があったからだと思います。

——-怖いなと思う事はないですか?

大きな波はたしかにありますね。あとロングボードの板の大きさには最初は戸惑いましたね。けがはないですが、板にぶつかることはしょっちゅうで、小さな傷はありますね。口切ったり(笑)

——-行きたいポイントは?
メンタワイなどのボートトリップなど行ってみたいですね。あとカリフォルニアのサーフカルチャーにも触れてみたいですね。でもまずはアドベンチャーなサーフトリップに行ってみかな!!
●お仕事との両立。仕事とプロ。●
——-瑞恵さんが鴨川に住みその後小栗さんとサーフィンを通じて知り合い、現在10年になるそうですが、プロになられ、旦那様は?
旦那さんもサーファーなのですが、いつも教えてくれるしとても応援してくれています。それがなければこの生活は出来ていないと思います!

——-両立していることについて、以前と変化ありますか?
仕事もサーフィンも大好きなので幸せですが、遠征のときなどはお店をあけてしまい心苦しいです。だからその分普段、気を引きめて頑張ろうと思っています。仕事の楽しさもあり、海での楽しさも勿論あり、このふたつのバランスはとても自分にはいいですね。

——-rulezpeepsはエコにも力を入れている、とても環境にいいお店ですね。

そうですね。サーフィンをするようになってから環境についてとても気にするようになりました。rulezpeepsでは素材にもこだわって長く着られる物作りとなるべく無駄を出さないよう、余った布も他のものに変われるよう、企業努力しています。

——-ボディ、スキンケア
日焼けは好きな事をしているので半分諦めてます。日焼け止めは本当に日差しが強い時しかつけません。つけたら必ずしっかり落とす事と、
日焼けしてしまった時は BADGER のAFRER SUN BALM をつけてます。香りも良いしカンカンが可愛いんです。
普段の化粧品もなるべくオーガニックの物を使うようにしてます。お友達の薦めもあって今はWELEDA のアーモンドフェイシャルオイルを使ってます。それ1本で日焼け止め落としたり マッサージしたり。遠征にもそれ1本でとても便利です。

——-食事はどうですか?

食事は忙しくても、なるべく自炊し玄米と野菜を中心にして心がけています。玄米を良くかんで食べる事と、お野菜を中心にバランス良く食べる事、家ではお肉料理を食べなくなりました。痩せないようにも太らないようにも気を配っています。あと気を付けている事は甘いもの大好きなのですが白砂糖をなるべく取らない事。甘いものが食べたくなったら、ドライフルーツを食べたりそれを使って自分で作ったりします。(ただ、頑張りすぎると疲れるので決めつけないで美味しい頂き物をしたりすれば喜んで頂きます☆☆)

——-女子サーファーにアドバイスをお願いします。
無理と思ったらそこで終わってしまうので、技にしても、目標は違うにしても、出来ないと思わないで、あきらめないで欲しいですね。あともう少し空いているところを選べば、もっと波にも乗れるので、混雑している場所を選ばす、少し波が悪くても沢山乗れるポイントで練習してみるといいかもしれません。あと、先輩や、サーフショップに足を運んで教えて貰うのがいいと思います。習うことで、上達も早いと思いますよ。女性は人生の節目などでサーフィンをあきらめてしまうことも多いかもしれませんが、出来るための方法を考えてチャレンジをしていってほしいです。

——-サーフィンしていて何がよかったですか?
大きな海で遊ばせてもらう事で、小さなこと気にしなくなりましたね。サーフィンと出会う前は見た目ばかり気にする子で、最新のブランドバックを持ったり、お化粧しないと外を歩けないような、、、。本当に180度人生が変わったかもしれません。

~インタビューを終えて~
早朝、誰よりも早く海にいる瑞恵さん。海でもまじめに練習しているかと思えば、仲間と楽しくおしゃべりしたり、笑顔が溢れる彼女は人気者。お店でも笑顔で迎えてくれて、彼女はどこでも笑顔。それはやはり彼女の真の強さから生まれているだと感じます。試合で勝つ。という強い目標と共に『海との調和』が彼女のベースなんだろうなと思いました。これからの活躍に多いに期待しています。

Interview by Hikaru Okura
Photos by Dave Yamaya