石油ベースのウェットスーツにさようなら!パタゴニアが開発した新素材ウェット

消費者の環境意識の高まりとともに、企業が、理念として環境問題に取り組むことで、私たち消費者はよりスマートな消費活動ができるようになります。環境問題への取り組みを積極的に製品製造過程に取りいれることで知られるパタゴニアが掲げるのは、リデュース(削減)、リペア(修理)、リユース(再利用)、リサイクル(再生)。これはつまり、循環する消費活動という生態系を経済の中に作りあげることではないでしょうか。

環境問題に関しては業界でも数歩先を行くパタゴニアから、この度すばらしい新素材を使用したウェットスーツが発売されることになりました。環境破壊への意識はひときわ高いはずのサーファーですが、実は我々がサーフィンに使用する道具はあまり環境にやさしくないのをご存知でしょうか。サーフボード、ワックス、ウェットスーツにいたるまで、その多くが、いわゆる石油の恩恵を受けているのが実情。近年、より環境にやさしい素材を使用したサーフボードやワックスの開発に各社力を入れていますが、パタゴニアは、これまでウェットスーツには、暖かいウール素材の開発などにより、石油系素材であるネオプレーンの使用分量を出来る限り減らしてきました。 しかし、生産過程において環境に影響を与える製品であることに疑いの余地はなく、やはり、このネオプレーンに変わる新たな素材の開発が必要だという結論に達したわけです。


今回パタゴニアがYulex社と共に、なんと4年の歳月をかけて開発した新しい素材に使われているのは、グアユールという植物。1-2年で収穫できて、その後は毎年収穫可能、コットンなどに比べてかなり少ない水で育ち、農薬を必要とせず、もちろんリサイクル可能。グアユール自体は、もちろんウェットスーツだけではなく、様々なゴム製品に取り入れることが可能で、48000キロ平方メートルの土地での栽培ができれば、現在私たちがすっかり依存している石油由来のゴムと置き換えることが出来るそう。世界中で栽培すればなんとかなりそうな気がしないでもない?!


パタゴニアの製品発表会では、原料となっているグアユールそのものや、ゴムになるまでの過程などが展示されており、液状のゴムを触らせていただきましたが、ナチュラルな香りが心地よかったです。実際のウェットスーツに使われるのは、現状60%グアユールベースですが、パタゴニアは100%を目指して更に開発中。製品の特徴としては、とにかく伸縮性に優れ、速乾性があり、劣化が少ないことなどがあり、つまり、長持ちするというわけで、お値段の張るウェットスーツに、長持ちはうれしいお知らせ。当面この新しいウェットスーツはパタゴニア直営店のみでの発売だそうです。

目先の利益にとらわれて、間違ったお金の使い方がまかり通っている現代社会において、このパタゴニアやYulex社のように、企業をあげて地球のことをちゃんと考えている人たちがいるという事実がなによりうれしいですね。日本匠の技が作り上げる地球に優しいウェットスーツ。日々の小さな努力に加えて、こういった会社の製品を選択するということも環境保護の一環となりそうです。

より詳しい情報はパタゴニアサイトにてどうぞ。
http://www.patagonia.com/jp/home