サーファーをはじめ、海や自然を愛するみなさまならば、あまりにも深刻な環境汚染を前に自分には何ができるだろうと考えている方も多いと思います。家庭で使う洗剤や化粧品、サーフィンでは日焼け止めなど、特に海へ流れていくものをできるだけナチュラルなものに変えている方は増えていると思いますが、では、毎日着ている衣類がどのような過程を経て生産されているか考えたことはあるでしょうか?
バリ在住の日本人サーファー二人が今シーズンよりスタートするブランドIndigo Seaは、衣類を染める過程でどれほど水を汚しているかということを目の当たりにしたデザイナーが、環境に負荷を与えない草木染めをテーマにデザインしています。
2/13(火)-15(木)に開催されるアクションスポーツ合同展示会インタースタイル(ブース#832 フラックス)にて、初のお披露目となるIndigo Seaの二人に、草木染めをはじめ、ブランドをはじめようと思ったきっかけや、子育てしながらのビジネスについてインタビューしてきました。あまりにもおかしなインタビューになったので、そのまま会話形式でお届けいたします。
Indigo Sea
タウンでカントリーで、いつでも自由に旅するような気分でいられる着心地のいい素材に、南国の草木から抽出したカラーを染めたサマーウエア。自然をリスペクトするLife style をおくる全ての女性たちへ。
ノリで言ってしまってん。
エリツィン編集長:ではみなさま。よろしくお願いします。おふたりともバリに住んでいるわけですけど、いつから住んでるんですか。
ちえこ:旦那(アメリカ人)が仕事先としてバリに派遣されたんだよね。5年前かな。
ゆうこ:わたしは99年に初めてバリに来て、それから毎年来るようになって、そのまま住むようになって5年くらいかな。きっかけはサーフィンやな。
ちえこさん、あなたは派遣されたと。
ち そう。ラッキーガール。
二人はどうやって出会ったんですか?
ゆ:ヨガのクラスで通訳できる人をさがしてて、ちえこを紹介してもらったのが去年の十一月やから1年前か。そのままえりちん紹介されて。十二月とかやったね。
ち:そうそうあたしのヨガで初めて会ったんだよね。えりちゃんサーフィン行った帰りにびちょびちょで来た。いつもなら来れない時間に無理して来てたよねw
ゆ:そやな。11時は来れへんな!
そうそう。で、そこからどうやって二人でインディゴシーを始めることになったのでしょう?
ゆ:ちえこがビーチクリーンやってるのを聞いて、勧誘されてん。
ち:勧誘してないわ。
ゆ:そうやな。ゴミ拾いやってるって聞いて、参加するようになって、毎週会うようになってん。
ち:あたしはそもそもゆうやんがやってるヨガウェアのYin Yangを、ウブドのヨガフェスタで買ったことがあって、かっこいいなと思ってたんだよね。で、わたしも子育てがひと段落したからなんか自分でアウトプットしたくなって、まずヨガのティーチャーズトレーニングを受けて、半分遊びで自宅でヨガクラスはじめたら、そこにゆうやんが来てくれるようになって。
ゆ:去年やな。
ち:で、あたしが Yin Yangをアメリカで売りたいって言い出したんだけど、アメリカで売るならアメリカのマーケット用に変えたいとか言ってたら、じゃ、最初から作ったら?って話になってさ。
ゆ:ノリで言ってしまってん。
ち:そうそう。ノリで。で、わたしがやる氣になっちゃったんだよね。
なんでまた突然ビジネスを始めようと思ったんですか?
ち:子育て終わったからさ。いや、終わってないんだけど手が空いたんだよね。
ゆ:そやな、あんたハンモックで本読んでるだけやもんな!(笑)
ち:そうそう(笑)。相当暇になったから。バリでは家事やらなくていいし。
ゆ:この暇な人の情報収集がまたすごいねん。めちゃめちゃ調べてくれるから。
出会って一ヶ月で100万円
で、ふたりでやることになったわけですね?ふたりでお金を出し合って。
ゆ:出会って一ヶ月とかでやもんな。
100万ずつだっけ?って、これ書いていい?
ち:えー。500万とかにしといて
いや、こういうのがおもしろいんですやん。これくらいでできるんやっていうリアルな情報。
ち:言えてる〜
ゆ:好きやな〜
ところでゆうこさんはYin Yangというヨガウェアブランドもやってますけど、始めたきっかけは?
ゆ:全然まだヨガブームの前だったんだけど、10年ちょっと前かな?ヨガパンツとかがちょっと流行り始めてて、バリから仕入れて持って帰るとこれが売れるねん。あ、売れるやんてなって、自分で作った方がおもしろいやんってなって。それもまたよく売れて、そこから地元の京都でリサーチして、ヨガスタジオで一番大きくて、一番きれいな人を探して連絡してん。
いきなりやりませんか?って連絡したん?
ゆ:そう。そしたらいいですよーってなって。二人でヨガスタジをやってはったから三人でスタートさせることになってん。めちゃめちゃ資金少なかったけど。
ち:この話すごいかっこいいところがあって。染物工場を回り始めたら、ケミカル染めが・・・
あ、そこ大事なとこ!
ゆ:さすがやなー。マネージャー!
川に真っ赤な液がドボドボ流れていた
そこ教えてください。
ゆ:オーガニックの生地とか探しはじめたんやけど、その当時はまだほとんどなくて争奪戦やってん。そのうち生地屋も仕入れたら売れるってことに氣づきはって、オーガニック生地も増えてきたんだけど、オリジナル商品を作るってなった時に染め工場を調べはじめてん。で、ある染め工場に初めて行った時に、どあーーーーっ!!てなって。川に真っ赤な液がドボドボ流れてて、作業してる人の手も真っ赤やし、なんかしらんけど人も荒いねん。雑やねん。バッドバイブスやねん。で、草木染めがあったらいいなと思って調べ始めて、今の工場にたどり着いた。
ち:その衝撃的に少ない資金で3人で始めた株式会社として法人化したんだよね。
ゆ:Yin Yangは売り先があったからね。あたしも努力したし、販売力がある人がいたからうまく行ってんな。ヨガブームもきたし。まあわりとむずかしいことやってるから伸び悩むこともあるけど。
むずかしいとは?
ゆ:草木染めでオーガニックってとこ。
ち:だって作るのすごい大変だもん。普通の洋服作るのの三倍くらい手間かかるから。
ゆ:コストも時間もかかるもんな。取り扱いもめんどくさいし。
ち:自然相手だから。
ゆ:一枚一枚作ってくれてる人が見えるねん。それがいい。一枚ずつ手染めやし、イヤな人とはやりたくないからな。作ったものにバッドバイブス入れたくないし。
ち:雨降ったら乾かないから納期遅れるし、湿度高いと色も変わるし。
ゆ:縫製工場なんて3〜40件くらい走り回って探して、今残ってるのが3件だけやねんけど、クオリティと感覚をわかってくれてる。わたしのことわかってくれてるしきちっとやってくれてるわ。
インディゴブルーの海を次世代にも受け継いでほしい
インディゴシーのブランド名の由来は?
ち:降りてきた(笑)
ゆ:ノリや。
ブランドのコンセプトは?
ち:なるべく環境にやさしいもので、スタイリッシュな洋服が作りたかったっていうのはあるね。街でも海でも着れるっていうのが理想だった。
ゆ:こういうの、若い子にもわかってほしいわ。わたしらおばちゃんなってから氣づいたけど、早ければ早いほどいいやん?
ち:肌に身につけるものが自分と環境にどれほど影響があるかっていうのを早いうちからわかってほしいよね。
ゆ:そやねん。わたしらの世代でも若い人でも着てもらえるデザインしてます。幅広く。
ち:着心地の良さはテーマだわ。ブランド名は草木染めの中にインディゴブルーってあって、で、海の色にもインディゴブルーってあるでしょ。インディゴシーにすればブルー海のイメージがすぐに思い浮かぶし、そのインディゴブルーの海を次世代にも受け継いでほしいっていう思いがある。
ゆ:え。そやったん?!ええやん!
えーーーー知らなかったのですか!!
ち:ずっと一生きれいな海を守ってほしいってこと。
ゆ:ええやん!!それ後付けちゃうん!
ち:あたしがブランド名インディゴシーっていったら、それいいやん!って言ってたやん。
ゆ:海のイメージのブランド名っていうだけやと思ってたわ。そんな深い意味があったとは!
ち:サーファー二人が始めたブランドだからね。あとゆーやんがケミカル染めを見たときに、これが海に流れて行くって考えたらありえないってなったんだよね。サーファーだからこその感覚じゃない?普通の人ってそこまで考えんのかな。そもそも海行かない人多いし。サーファーって、海が汚染されてることを肌で感じるからね。
ゆ:バリは下水処理場がないねんな。
ち:だから、そのインディゴブルーの海が一生つづかないっていうのも見ててわかるし、だからこそ、なんとかしたいっていう思いがあるわけ。
ゆ:まとまったな!かっこよく!
子育てとビジネス
ふたりとも子供育てしながらビジネスやってるけど、どう?
ゆ:そやな。わたしは子供後付けやったし。やめられへんしな。
ち:わたしはひと段落してからだけど、この人(ゆうこ)今子育て中だからね。
子育てしてる人も余った時間で二人みたいにビジネスやればいいね。
ち:日本は旦那があんまり家事手伝わないから大変かもね。余る時間ないよね。あたしが日本にいたらビジネスなんてやりたいとか思ってないかも。子供二人小学校で、共働きの人はもっとだけど、主婦でもほとんど時間ないよね。
ゆ:でもあれやで、子供が小学校にあがったら急に時間ができるねんて。サーフィンとか趣味がある人はいいねんけど子育てだけしてたら、何したらいいかわからなくなるらしい。で、パートに出るとか。
もうちょっとクリエイティブなことしてもいいよね。
ゆ:そやな。
いろんな生き方があっておもしろいわ。最後に、バリの生活でめんどくさいこと、良いこと悪いことって何?
ち:良いとこは、お手伝いさんいるとこ!いや、つまり物価が安い。っていうか、一番は波がつねにあること。しかも海が身近なのがいいね。行きたいと思ったらすぐ行ける。サンセット見ながらのビールタイムもいつでも氣軽に行けるとことか。
ゆ:あとはみんな笑ってるとこ!、みんなヘラヘラしてるやん。
たしかに!めっちゃ怖そうなおっちゃんも、目があったらものすごい笑顔くれますね。
ゆ:悪いとこはゴミやな。国として整備されてないっていうかルーズやし。仕事するの大変やわ。とにかく時間かかるから先を見越してやらないと間に合わない。むこうにストレス与えたらうまくいかないから。こっちが合わせつつっていうスタイルでやってます。