日焼け止めのSPF神話

化学薬品まみれの日焼け止めをぬってでも紫外線をふせぐべきか、化学薬品はぬらないで素焼きするべきか。安全な日焼け止めの選択肢が少ないと、こんな選択をせまられるわけですが、最近では自然派の日焼け止めもふえ、選択肢の幅が広がり、冬でもちゃんと紫外線ケアをわすれない方も多いのではないでしょうか。

紫外線は4月ごろからどんどん増えますが、まず、こちらの記事を読んでいない方は、紫外線シーズンインの前にぜひご一読ください。
【日焼け止め8つの真実!】
https://beach-press.com/?p=2526

さて、日焼け止めを購入するとき、みなさんがまず気にするのはなんですか? ノンケミカル表示? ウォータープルーフ? SPF値?今回とりあげるのはこのSPF値について。いまだにSPF値が高いほう日焼け止め効果があるとおもっている方は、ぜひお読みください。


【そもそも、SPFとは??】
Sun Protection Factorの略。紫外線にはUVA、UVBなどがありますが、SPFはUVBの防止効果をあらわし、紫外線をあびたさい、皮膚が赤くなるまでの時間を何倍に長くできるかを表したもの。たとえばSPF30の日焼け止めを利用した場合、赤くなるまでの時間を30倍にのばすことができるということになります。具体的にいうと、何もぬらない場合30分で赤くなる人が、SPF20の日焼け止めをつかうと、30×20=600、およそ10時間日焼け止めの効果が期待できるということです。

ここでポイントとなるのは、10時間赤くならないのではなくて、通常30分で赤くなるところを10時間かけて赤くする。ということ。つまり、日焼け止めを使って「絶対焼かない!」というのは至難の業。

また、このSPF数値は、1平方センチに2mgの日焼け止めをぬった場合の数値で、これは相当真っ白になる量。じっさい肌に塗る場合、この1/4程度だといわれています。
【SPF数値は高い方が効果があるのか】
一昔前なら、SPF100なんていう製品をよく見かけましたが、日本で現在販売されている日焼け止めでSPF50+という表示以上のものはありません。日本化粧品工業連合会がきめた基準で50以上はうたえないことになっているのです。アメリカの製品にはいまだにSPF100と表示されたものもありますが、アメリカでも一応上限は30+を勧告しており、オーストラリアでは、30+が上限です。国によってこれだけ差があるわけで、この数値に安易にまどわされないようにしましょう。

では、なぜ表示に上限がもたらされたのか、ですが、SPF数値の測りかたは、ヒトの皮膚の色の変化を目視によって確認するという手法のため、SPFの値が大きくなるとともに誤差が生じやすいということと、数値が高いほど効果があることを証明できないから。しかしながら、SPF値は高いほど、肌の負担になる成分も増ふえるので、お肌への負担を考えるなら、むやみに数値の高いものをえらぶのは、避けたほうがよさそう。

【スマートな選び方】
とにかく数字に惑わされないことです。日本では、普段使いならSPF20-30、炎天下では50をというのが定説ですが、それは、甚だあいまいなSPFという数値の上限が50だからで、上限が30のオーストラリアでは、普段使いはSPF15 、炎天下でも30あれば十分といわれています。 また、日本では1996年、国民生活センターが、UVカット化粧品について「13銘柄中、12銘柄はほとんど効果がなかった」「(SPFは)消費者に誤解を与える過大な表示だ」という発表をしました。日焼け止めと銘打って販売されているものに、そもそも日焼け止めの効果などなかった。ということです。本当に安全な日焼け止めをつくろうとおもったら、薬局で売っているような値段ではできません。また、“SPF50あれば大丈夫でしょう”という安易な消費活動をするのではなく、危険な化学薬品がつかわれることが多い日焼け止めは、どのような会社が、どのような原料で作っているのかを調べ、納得した上で購入されることをおすすめします。