子供のころ、おじいちゃんの部屋にあった本棚に、
白地に黒い字で、
『死ぬ瞬間』
というタイトルの本が置いてありました。
小学生とかの私には、それはそれは衝撃的なタイトルで、
おじいちゃんがなんでそんな本を読んでいるのか全く理解できなかったし、
とにかく、おじいちゃんは、怖い本を読んでいるんだ。
って感じで、部屋に行く度に、見てはいけないものを見るような感覚で、
そのタイトルを見ると死ぬんじゃないか、的な、
私の記憶に鮮明に刻み込まれた本がありました。
時は過ぎて、三十路も半ばを過ぎたであろう頃。
本屋でなんか面白そうな本はねえかと探していたら。
ららららら。
!!!
なんと!
『死ぬ瞬間』
あの恐ろしいタイトルが目に飛び込んできた。
作者は、エリザベス・キューブラー・ロス。
これは何かの啓示か?!
と思った私は、何の迷いもなくその本を買ってみたわけです。
さて、この本の内容ですが、
是非みなさんにも読んでいただきたいので詳しくはお話しませんが、
キューブラーさんは、1926年生まれのお医者さんで、
末期がんをはじめ、死の淵にいる人と真正面から向き合い、
彼らが死をどのように受け入れていくか、その過程をインタビュー形式で書いた本。
非常に×10くらい面白い本で、
キューブラーさんに興味を持った私は、続いて彼女の自叙伝ともいえる、
『人生は廻る輪のように』
という本を読んだんです。
これがまたすばらしい本した。
かなり特異な人生を送られた方なんですが、
彼女が死に直面している患者と向き合う過程において、
臨死体験をした患者などと多く出会うようになります。
すると彼女の中で、死後の世界があるのではないかという思いが強くなり、
しまいには、彼女自身が、自分の体験を通して、
肉体は滅びるけど、意識は死なないという結論に至る過程を赤裸々に綴っている。
西洋医学の医者としてこの内容を書くって、
相当覚悟が必要だったんじゃないかっていう、かなり衝撃の内容です。
ああそれから、この本は翻訳が本当にすばらしいと思いました。
こんな翻訳が出来るようになりたいもんだわ。
というわけで、翻訳本ですが、非常に読みやすいというのもおすすめの理由。
ところで、わたしは2つの理由から、死んだら肉体は朽ちるけど意識は残る派です。
まずだいたい、ただ単に、生物として朽ち果てていくためだけに、
こんなに様々すぎる経験をしているわけはないってことと、
もひとつは、前もブログに書きましたが、命がどうやって始まったのか、
鶏が先か、卵が先か、未だに誰もわからないっていう、
その謎すぎるところからして、なんだか神秘的すぎて、
ただ単に朽ち果てて土へ還るだけではないにちがいない。
ってなんとなく思うわけです。
私のまわりの友達には、圧倒的に、
死んだら単に朽ち果て、意識も全てシャットダウン!
って意見が多いですが、そんな人にぜひ読んでいただきたい二冊。
できれば、『死ぬ瞬間』
から読んで、
次に、『人生は廻る輪のように』
を読んでみてください。
この2冊を読んで、ああ、おじいちゃんはこういうことちゃんと考える人だったんだな。
っていうことが分かって、なんだかとてもすがすがしい気分になったのを覚えてる。
生まれた限り、誰もが100%死ぬのに、人間は死と向き合うことを出来る限り避ける。
病気になって、余命を告げられれば、
そして特にこの本に書かれているようなサポートが得られれば
人は比較的安らかに死ぬことができる場合が多いのかもしれないけど、
そうじゃなくても、いつだって死ぬ可能性があるわけだから、
もっとちゃんと死と向き合ってみるっていうのもたまには良いんじゃないかと思う今日この頃。
そういえば死ぬ瞬間って、脳から気持ち良くなる何かがドバっとでるって読んだな。
だからぜんぜん苦しくないし、逆に気持ち良いんだって。