10万年後の安全 未来の地球の安全とは。


文/西上依里

まずお伝えしておかなければならないのは、私は原子力というものにある程度の関心はあったけれど、それが何なのかを知るために積極的に行動を起こしたことはほとんどなかったということ。きっとだれかが何とかしてくれるだろう、っていう根拠のない期待を持ってあたたかく見守っていたというか。で、このたびの原発事故はそんな私の受動的人生を大きく転換させる、残念だけど良い機会となりました。私みたいな方はたくさんいるかと思うんですが、私もまだ絶賛勉強中。そんな中、先日Cinema Amigoさんで見た「10万年後の安全」という映画について私なりのレビューをしてみたいと思います。

さて、10万年です。Wikipediaによりますと、10万年前といえば、ネアンデルタール人的時代のようですね。日本最古の石器が8~9万年前のもの。氷河期があり、日本列島が大陸から離れ、3000年前位になってようやく古代エジプト文明です。というわけで、ま、はっきり言って10万年前と言われても、何のことだかよくわかんない時代なわけです。

映画「10万年後の安全」ですが、舞台はフィンランドに建設中の高レベル放射性廃棄物処理施設、その名も「オンカロ(隠し場所)」。響きからして、なんだか暗い感じです。安全になるのに10万年を要するといわれている高レベル放射能廃棄物を、本当に10万年も保管することが出来るのか、を追ったドキュメンタリー。

10万年間放射線を出しつづけるって、もうそれだけで想像がつかないのですが、オンカロは地下500メートルに大量の高放射性廃棄物を閉じこめ、10万年のあいだ、絶対にだれにも開けられないようにするという途方もない計画のための施設。エジプトのピラミッドが作られたのが数千年前ですが、現代の科学技術をもってしても、ピラミッドが何のために作られたのか100%理解することは未だ出来ないわけで、では、もし10万年後も存在するならば、未来の人類がオンカロを見つけた時に、それが何なのか理解出来るのか?が問題なワケです。とにかく絶対開けられてはいけない。そのためにどうすれば良いのか、未だ答えは出ない。

フィンランドは世界で初めて使用済み核燃料の最終処分地を決定した国。でもこれはどうやら脱原発のため、ではなく、エネルギー需要増大のため、現在も原発の建設は不可避という考えのもと、最終処理が「原則決定」したことに後押しされた形で、今も新規建設が進められているということみたいです。ただ、フィンランドの姿勢としては、自然エネルギーの増大を目指すために、一時的な電力供給源として原発を容認しているだけで、長期的には原子力からの脱却を、という考えがあることを、ハネロン大統領がアメリカのTVインタビューで表明したということでした。

映画を見終わった後の、率直な感想は、「わ・・・、わかんない!」でした。人知、というか、私の知を完全に超えているので、もう、何これ?!という感情しか出てこない中、やはり、「なんで人類はこんなものを作っちゃったんだろう?」という疑問が大いに残りました。映画の中で、私たちの3世代ほど前に原子力が発見され、これは素晴らしいエネルギーを見つけちゃった!と興奮した人間がまさかこんなに危険なものだという認識もないまま作ってしまったというくだりがありました。エネルギーはつねに必要とされ、経済の中心にエネルギー問題がありつづける今の地球において、原子力が発見された当初、これでエネルギー問題が解決されると興奮したのは仕方のない話。なのは分かるんですが、使ってみたら地球を滅ぼす核廃棄物が出つづけることがわかり、その処理方法もわからない。なぜ、そこでやめることができなかったのか。ひとことでいえば、多分、これによってものすごく儲かっちゃった人がいたから、ってことなんでしょうけど。核燃料っていうのは、ウラン鉱山から取れるウランが原料。究極の話、人間は、ウランからこんな危険なものが作れてしまうということを発見しで何を学ぼうとしているのか・・・と考えさせられました。

日本には過去、広島と長崎に2度核爆弾が投下され、我々はそこからなにかを学び、いわゆる“非核三原則”というものを作った・・・と私は思ってたんですが、今回の原発事故が起こるまで、“核を持たない”と宣言している国に、何故こんなに核エネルギーがあるのかに疑問を抱くことすらなかった自分の無関心さが、原発建設を助長していたいちばんの原因ではないかということに気づきました。そして気づいたので、変えたいと思うようになりました。10万年後の地球が、この私たちの愚行から学んだ人間によって、いまよりステキなパラダイスに創り変えられてら最高なのですが・・・。そんな未来を描いてみるきっかけになった映画でした。

10万年後の安全ホームページ
Thank you Cinema Amigo

Beach Press E.N.

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