小池葵のこれまで、そしてこれから3

小池葵のこれまで、そしてこれから3
【311以降の千葉。震災の影響】
「6月までは震災の影響だと思いますが海に来る人は減りました。がそれから暖かくなって、徐々に夏モードになって、気持ちも少し皆前向きになってきたおかげで、千葉の海にも人が戻って来てくれた時は本当にうれしかったです。いまだに怖いと思っている人もたくさんいると思うし 別に海が安全とは限りませんが、来てくださいっていう呼びかけもしていない中今海に入りたいって思ってくれているお客さんを大切にしてその人たちが安全に海に入って帰れるっていうのに集中しています。」

贅肉などとは無縁に見える彼女、選手生活を引退して、海に入る回数がめっきり減ったとか。体のメンテナンスにトップアスリートがしていることとは。
「ピラティスと水泳をやっています。スクールで何かあった時に助けに行けるようにっていうのもありますが。ピラティスは体の軸がしっかりしていないと何かあった時にお客様のためにもならないから。ピラティスは体幹を鍛えることでバランスが良くなるのでサーフィンにはお勧めですよ。現役の頃みたいに追いこんではいないですが、インナーマッスルがないと、たまに入る海でも腰を悪くしたりするので。私は一気に海に入らない生活に切り替えてしまったので、筋力も落ちますし。少しでも体にガタがこないようにやってます。今海は2週間に1度くらいしか入ってません。スクールでは入りますけど。これからハワイに向けて練習しようと思っていますが、毎日入ってる生活だったのに、こんなに入らなくても良い自分が不思議です。」

毎日海に入るのが当たり前だったのが、2週間も入らなくて平気っていうのは何故?
「入りたくなるタイミングが気づいたら2週間とか、ヘタしたら3週間とかなんですよ。たぶん指導に集中しすぎてるのかな。楽しいですし。その分考えちゃうから、自分自身疲れてしまうっていうのもあるかもしれないです。自分も戦ってるみたいな気分になっちゃうんです。自分だったらこうできるとか。自分がやって勝ち負けが決まるならどんだけ楽だろうとか思うんですが、他の人だと、心配になっちゃう。幼稚園に応援しにくるお母さんみたいな気持ちなんですかね。日々気持ちの変動が前より激しくて。指導で入ってるのが、入ってる気分になってるのかな。紫外線も浴び過ぎだし。」

そんな彼女がこれからやって行こうと思っているのは、指導している選手たちが安定して世界で勝って行けるよう指導すること。
「私が教えている子供たちが今年世界大会で決勝に残ったりするようになってきたので、のちに世界チャンピオンになれるように頑張っていきたいなと思っています。あとは自分から離れていく日もあると思うので、それまでに教えられることは教えて、強い選手になって卒業、そんな日が迎えられたらいいなと思います。」

試合という環境を通して彼女が波乗りから学んだことはきっとふつうのサーファーが感じることとはまた違うはず。
私が波乗りを通してまずよかったと思う一番の事は、親と海に入れたこと。子供の頃だったけど、父親と海に入ったりっていうのは幸せなことだな、と思います。それから自分自身を強くさせてくれたことが一番の経験。ただ、女性と男性のサーフィンに対する頑張り方って違うし、私は女性であることで楽に色んな人にかわいがってもらえたけど、男性だったら男性社会?で色々あったと思うし、女でよかったな。って思います。好きに、自分らしく表現させてもらえた、っていうのが。男性ならある程度のところまでこないと認められなかったかもしれないけど、女性だったから、いちボディボーダーとして認めてもらえたのがうれしいです。それからいろんな人とかかわってこれたことも。」

さて。ここまで読んでくれた読者の皆様の中にも、波乗りに興味はあるけど、まだやったことがない、という方も多いのでは。そんなあなたは是非彼女のこのメッセージで最初の一歩を踏み出してみてほしい。
「サーフィンって憧れとか、興味を持ってる人はたくさんいると思いますが、女性の中には、どうしたらいいかわからない、どこに問い合わせたらいいかわからないとか、調べても実際足を踏み込むのが難しいこともあるかもしれない。サーフィンの良さって、ボディボード、ショートボードとか関係なく、そして年齢も関係なくいろんな人と話が出来たり、ちょっと怖そうな人でも実際は本当に気さくに話してくれるし、ショップも出入りしにくい部分があるかもしれないけど、一歩を踏み出すことで、より安全に海に入れるきっかけになります。色んな情報を得ていくうちに、こんなことに自分がつまずいてたんだ!って思うと思うので、どこかのお店に電話する、海に来てショップに寄ってみるとか、その一歩を踏み出すことで全く違う世界が待ってると思います。それに、ほんとにキレイな体になれると思うし、みなさん是非やってみてください。」

THANK YOU AOI-chan!

小池葵(こいけ あおい、1977年11月25日)

千葉県在住。ハワイ生まれ、6歳の時に日本へ帰国。日本を代表するの女性ボディボーダー。1989年、元プロサーファーでもある父の指導でボディボードをはじめ1991年、全日本サーフィン選手権で優勝。高校卒業後の1996年にプロ転向。以来、国内外のコンテストを転戦して常に上位入賞。1998年にはハワイ・パイプラインで行われたAWBワールドコンテストで日本人初の優勝者となる。2007年、10回目の国内チャンピオンを獲得したのを期に現役引退を表明。現在は選手の育成に力を注ぐ。

オフィシャルサイト
http://www.aoikoike.com/